今日もお客のなかった文庫でお茶を引いていたら、
本堂で開かれていたお習字の会の後で
上田大愚センセイが覗いてくださった。
和室のドールハウスを見に来てくれたとか。
細かい屋根瓦や違い棚の絵皿などを見て、
「…何をしてくれるのや」とあきれて一言。
誉めてくれたのだと勝手に思っておこう。
そういえば、食卓を見て「栄養バランスが偏ってへん?」
そこか。 サンマと月見うどんとビールだからなあ。
次に見てもらうまでに、栄養バランスの取れた食卓を、頑張って作るわ。
そんなやり取りの後、また一人で本棚を見ていたら、
香月日輪作の『妖怪アパートの幽雅な日常』シリーズが目についた。
このシリーズって、おいしそうなお料理が山ほど出てくる。
ただし作っているアパートの賄いさんは、手首だけの幽霊なんだけれど。
ストーリーも面白くて人気なのはもちろんだが、
この賄いさんのお料理本までが別巻で出ているくらいだ。
文庫の本棚に、なぜか第1巻がなくて、2巻から後が並んでいた。
どなたかに貸し出し中らしい。 はて。
ちなみに作者の香月日輪さんという方は、田辺市出身の女流作家で、
妖怪や霊などが絡んだお話をたくさん出版していて、
残念なことに数年前に亡くなられた。
個人的には、どのシリーズにも共通している、ちょっぴり教訓めいたところが
たくさん読んでいると気になってくるのだが、お話は大好きだ。
未完になったシリーズがあるのは残念だけれど、
『妖怪アパートの優雅な日常』は外伝2冊ほどを含めて全部終了している。
第1巻から読んでみようという人がいらっしゃったら、
我が家の本棚にもあるので声をかけてください。
さて、文庫でひたすら本を読んで、和子さんとおしゃべりをして、今日もおしまい。
これでお茶をごちそうになって帰るのは、申し訳ないわ。
次の文庫の日は、10月3日です。
(芝 直子)