なんと、真夏のような暑さが続いて、今日も文庫にエアコンの風が心地よい。
汗をかきかきお墓に参って、文庫で一休みしていたら、
久しぶりに佐武さんがおいでになった。
お習字の日だけど、お天気も悪いから、お客様があってうれしい。
佐武さんは去年と同様、ドングリを拾って持ってきてくれて、
ドングリの絵本も2冊、寄付してくださった。
どちらもドングリの事を詳しく書いた、きれいな絵本で、
これを持ってフィールドワークに行けそうな、手ごろなサイズだ。
文庫に置いとくだけではもったいないかも。
どこかで活用したいなあ。
お習字が終わった皆さんが、傘をさして帰って行かれる。
本降りになったようだ。
そしたらお習字の上田先生が、帰りに文庫に顔を出して、
「芝さん、『いやいやえん』ある?」
そうか、つい何日か前、中川李枝子さんの訃報を聞いたばかりだわ。
『ぐりとぐら』などの素晴らしい絵本の生みの親で、
たくさんの名作を書かれた中川李枝子さんだから、
ニュースを見た時は、本当にさみしい気持ちになった。
二人三脚で絵を描かれていた、妹の大村百合子さんも亡くなったし、
大げさかもしれないが、一つの時代の終わりみたいな気がする。
上田先生は、中川李枝子さんの訃報で色々な作品を思い出し、
その中で『いやいやえん』は確かに読んだのに、どんなお話だったのか、
記憶があいまいで気になったらしい。
文庫にあった古―い『いやいやえん』を手に取って、
「あ、しげる、やったなあ」と、主人公の名前を思い出したようだ。
なんでもいやだいやだと言う子どもたちが連れてこられる
いやいやえんが舞台の、短編集だ。
そんな幼稚園がホントにあったら、それこそ、いやだなあ。
小学校の1年生の教科書に出てくる『くじらぐも』も、中川李枝子さん作で、
上田先生はその本読みをする息子さんがとても可愛くて、
その頃、動画を取ったんだと、見せてくれた。
えっ、それって十数年前の事だよね。
大きなかわいい声で本読みをする、息子さんの動画を見ていて、
私もいろいろ思い出した。
学童保育で指導員をしていたころ、1年生の本読みで、これをさんざん聞いた。
『4じかんめの ことです。
1ねん2くみの こどもたちが たいそうを していると、
空に、大きな くじらが あらわれました。
まっしろい くもの くじらです。』
すっかり忘れていた、当時の1年生の顔と声が次々に浮かんできて、
じぶんでもびっくり…。
思い出させてくれた、中川李枝子さんのご冥福をお祈りします。
次の文庫の日は、11月2日です。
勝手ながら私は休みですが、お寺にどなたかいらっしゃったら、
声をかけてください。
(芝 直子)