年内最後の文庫の日は、冷たいみぞれ交じりの雨。
そのせいか今日のお客はゼロで、本棚を眺めて好きな本を選ぶ。
目についたのは、物語の本棚で半分埋もれていた薄い本。
絵本サイズなので、入れ間違えたかと抜き出してみると、
ワンダ・ガアグ再話の『ヘンゼルとグレーテル』だった。
おなじみの昔話だが、じっくりと読むと、ガアグの再話が子どもにもわかりやすく、
佐々木マキの絵もかわいくて、いい本になっていると思う。
絵本の棚に入れなかったのは、多分文字が多かったから。
絵本だと思って読み始めると、結構時間がかかる。
だからここに入れたんだなと、過去の自分に相槌を打ってしまった。
絵本でも良かったかも。
お菓子の家など、よく知っているようで実は詳しいストーリーは覚えていない。
貧しい一家の二人の子ども・ヘンゼルとグレーテルが、継母に疎んじられて
口減らしのために、深い森の奥に捨てられてしまう。
父親も妻に押し切られて加担するのだが、のちに深く後悔する羽目になるのだ。
二人は、一回目は家に帰ったものの、二回目は目印のパンを小鳥に
食べられてしまって、不思議なお菓子の家にたどり着く。
そこには年寄りの魔女がいて…。
つい最近始めた、お話の候補に、語ってみたいなと考えながら読んでしまった。
でも長すぎるから私の実力では無理だわと、本棚に戻す。
いつかこんな長いお話を語れたらいいな。
さて暖かい文庫で和子さんといろんなおしゃべり。
覚えたばかりのお話「鳥吞爺」も、聞いてもらった。
来年はどうかマスクの要らない日が来ますように。
そして来年も、楽しい本にいっぱい出会えますように。
ドールハウスの床の間などに、お正月飾りを並べて、年内最終です。
皆様良いお年を。
次の文庫の日は、1月16日になります。
(芝 直子)