「おばけ美術館へいらっしゃい」 2014年10月4日
2014年10月05日
台風接近のニュースの中で、今日は安原小学校の運動会。
先生方も、とにかく何が何でも運動会をやってしまいたいはずだから
曇り空をにらんで、大急ぎでプログラムを進めておられるに違いない。
そんなわけで、今日の文庫のお客はさやちゃん一人だった。
「みんな遅い」とブツブツ言いながら一人遊びに夢中のさやちゃんと、
時々おしゃべりしながら私も一人で本を読む。
そう言えばさやちゃんのお兄ちゃん・いっと君も
一人遊びの名人だとママが教えてくれた。
小さい頃、消しゴムのカスを見つめているうちに、次々お話が浮かび、
消しカスだけで1時間、更に新しい消しカスをプラスして1時間…。
どんなドラマチックなすごいお話だったのか、ぜひ聞かせてほしいものだ。
後はその物語を発表する表現力に期待しよう!!
文庫で一人遊びのさやちゃんも、ドールハウスやおもちゃの小物を駆使して
お話の世界に入り込んでいるようで、いきなり「おなかすいた」と言う。
「そう?」と聞き返すと、「違うで、この子がおなかすいたって言ったの。」
そうかそうか、そいつは失礼。
そう言えば、学童保育の教室でも時々ビックリするようなシチュエーションで
ままごと遊びをしている子たちがいる。
「妊娠5カ月なんよ」「もうすぐ生まれるわ」と言うのはいい方で、
「お前、別れてくれないのか」と言う声が聞こえた時は、マジでドキッとした。
クレヨンしんちゃんのねねちゃんが仕切る、リアルおままごとの世界だ。
子どものおままごとも、取り巻く環境やニュースに無関係ではいられない…。
さて、そんな物騒な世界ではなさそうなさやちゃんの一人遊びを見ながら、
私が読みふけっていたのは、柏葉幸子作、ひらいたかこ絵の
『おばけ美術館へいらっしゃい』のシリーズ。
子どもにしか見えないおばけたちが、美術館の絵画や収集品から抜け出て、
10歳のアルバイト館長・まひるを困らせるお話。
何しろおばけたちは傍若無人にわがままで、テレビのチャンネル争いをしたり、
自販機の前で子どもからコーラを取り上げたりするのだ。
やんちゃな弟二人の面倒をいつも見ているまひるは、
同じノリで、暴走するおばけたちをなだめ、
「これじゃ弟たちの面倒を見てるのと変わらない」とぼやくのだ。
振り仮名のついてない漢字もあるけど、なかなか面白い。
ただ、現代を舞台にした読み物と言うのは、10年もすると
それまでの常識が今の子どもの常識として通用しなくなることもあるよね。
電気製品、特にIT関係になるともう大変だ。
他の本の読み聞かせで、子どもに
「なぜそのお母さん、ケータイしないの?」と言われたこともある。
私が今読んでる推理小説で、ITオンチの私立探偵が
「そのうちメールやら写真が撮れる携帯電話ができるんじゃないか」と
毒づくシーンがあるけれど、そんなの、アタリマエじゃん。
更に後10年したら、別の常識が生まれているに違いない!
ご住職がカルメラ焼の試作をして、なぜかふくらまなかった名残で
甘ーい匂いに満ちた文庫だった。
のんびりし過ぎて、写真、撮り忘れた!
次の文庫の日は、10月18日です。
(芝 直子)