「コッコさんのかかし」2018年8月4日
2018年08月05日
相変わらずの猛暑の続く夏休み。
なんと30年ぶりに、和本作りの会を開いた。
なぜ30年ぶりと分かるのか?
和本の道具と一緒に出てきた作り方のプリントが、S63.12.1付けだったから。
おそろしいわぁ。
茶色に変色したそれをコピーに掛けてみたら、作りたてみたいにきれいになった。
30年前にはこんな細かいレジメを手書きで作っていたんだと、
自分で自分に感心してしまった。
幸い、年月が過ぎても作り方の変わらない和本なので、そのまま使えて良かった。
パソコンで作りなおす暇と根性が無かったというのが本当のところだが。
そう言ったら、久しぶりにお顔を見た、りこちゃんママが、
今は手書きの原稿をそのままデータ化できると教えてくれた。 へえー。
さて、次々にお客様が来てくださって、お部屋は満員。
偶然5年生ばかりの男の子と女の子が4人に、
大人の方二人、それに応援のお母さんたち。
表紙を選び、中味の紙を折り、金槌でガンガン叩いて仮綴じの穴をあける。
仮綴じは麻ひもと決まっていて、おいしくないけどちょっと舐めて通してもらう。
皆さん、慣れない作業に苦労しながら、2時間ほどで完成した。
本綴じの糸は、このレジメを作った当時は普通に手に入った5番の刺しゅう糸だが、
最近は専門店でも見なくなって、今回はネットで入手した。
絹の穴糸や、レース糸でも代用できるので、おうちでも挑戦してみてください。
さあ一仕事済んで、夕方帰りかけて、田んぼの稲に穂が出ているのを発見。
もうそんな季節なのだ。
そう言えば、と思い出したのが、片山健作の『コッコさんのかかし』。
実は1日の登校日に、肝を冷やす体験をしたのよね。
学校の中庭で、大勢の子どもたちがのこぎりを振り回して何かを切っていて、
その足元に横たわっているのは、靴を履いたズボンの足!!
びっくりしたが、それがどうやら地面に転がったかかしで、
みんなはかかしを製作していたらしい。
その時のこぎりを持っていたのが、以前からなかなかに弾けた女の子だった…
と言うのは肝をつぶした私の言い訳だ。
そのかかしたち、昨日見たら学校の前の田んぼに並んで、
かかし本来の務めを果たそうとしていた。良かった…。
コッコさんが作ったかかしも、台風の田んぼを守って、
昼も夜も頑張って田んぼに立っている。
この本では田んぼと言うより畑で、稲は陸稲と書いてある。
この辺の水田のイメージとはちょっと違う絵本だけれど、
とても楽しい本なので、ぜひ文庫で見てください。
次の文庫の日は、8月18日です。
(芝 直子)