「ベロ出しチョンマ」 2024年3月2日
2024年03月03日
『ベロ出しチョンマ』は、斎藤隆介作の童話集。
おいでになった佐武さんが、前に『モチモチの木』を栃の木がらみで紹介したので、
「モチモチの木って、ベロ出しチョンマと同じ作者なんですね。気がつかなかった」と言われたのだ。
確かにそうだけど、文庫には無いですねぇとお返事。
どちらかと言えば大人向けの童話集なので、
単独では『ベロ出しチョンマ』は、絵本になっていないと思う。
一緒に入っている『モチモチの木』や『八郎』や、『花咲き山』は、
滝平次郎さんの美しい切り絵のままで、絵本になっているのだけれどなあ。
正直に言うと、子どもが残酷な目に合うお話は、個人的に苦手だ。
3歳の子どもも含めて、一家全員が磔になって死ぬなんて怖すぎる。
一貫してこの童話集のテーマが、自己犠牲とか、献身とか、
そういう方面であることも、苦手な一因かもしれない。
私が、いたってちゃらんぽらんな人間なもので。
なのに、なんだか今日の文庫はそっち方面に流れていく。
和子さんから、満州から引き揚げた頃の凄惨なお話を聞いたし、
佐武さんも詳しくて、絶妙な相槌を打ってくださるし。
最近の世界情勢を鑑みても、目を背けてはならない貴重な体験談。
そもそもが私が今日のお話に選んだ、『きんぷくりんとかんぷくりん』が
いけなかったのかも。
和歌山の民話で、でたらめに魚の名前を言って、褒美の5両をせしめた男が、
代官にばれて、「打ち首じゃ」と言われる話。
機転を利かせて代官を煙に巻くのだか、子どもの前では語りにくい。
そもそも代官を知らんしなあ。「だいこん?」って言われたし。
イカが干したらスルメになるのも、多分小さい子では分からない。
打ち首と、戦争体験と、ベロ出しチョンマで終わった文庫の日でした。
写真は明日のひな祭りに合わせて、飾ってみたドールハウスです。
次の文庫の日は、3月16日です。
(芝 直子)