「100万回生きたねこ」 2021年2月20日
2021年02月21日
2月とは思えないほどの暖かいお日様が入る文庫で、
入ったとたんに気がついたのは、ドールハウスで誰か遊んでくれたらしい気配。
うれしいなあ。
和子さんが、お寺にお子さん連れのお客様があって、
何人かで遊んでくれたと、教えてくれた。
それは良かった、もともと遊んでもらうために作ったのだから。
そう言いながらもう一つ気づいたのは、絵本の本棚。
本棚から大きく出っ張っているのは、佐野洋子作の『100万回生きたねこ』。
知ってる本がある、とおっしゃっていたそうだから、これに違いない。
100万回生きて、どんなに飼い主にかわいがられても、
自分も飼い主も嫌いで、100万回死んでも全然悲しくなかったのに、
ある時そのねこがのらねこに生まれ変わった時、
自分を誉めない白ねこに出会うのだ。
相手がいとおしいという感情を知ってしまったねこは、
白ねこが死んだ時、初めて泣き、二度と生まれ変わらなくなるのだが、
その不思議さと力強さ、優しさに、心が震える。
長年読み継がれる、大好きな名作だ。
そうか、この本を手に取ってくれたんだ。
文庫の日には最近お客がないけれど、そうやって本のある空間に来て
遊んだり、本を見てくれる人がいたなら、こんなうれしいことはないと思う。
写真はドールハウスに新しく作った小物。
将棋盤の脇の、脇息と、食卓に乗った蛤のお吸い物が仲間入りした。
前回、小さい貝殻が無くて作れなかったお吸い物だが、
思いついて公園の砂場に行ってみたら、あったあった…。
いい年のおばさん(おばあさん?)が、砂場でせっせと砂を掘って、
何をしてるんだろうと思われたに違いない。
サイズの合うのを拾って、くっつけて、粘土で貝の身を入れて、
レジンを注げば完成。
和子さんに昔話を一つ、押し売りして今日の文庫はおしまい。
今日のお話は『魔法のビール』でした。
次の文庫の日は、3月6日です。
(芝 直子)