祝日ではないから、普通に文庫の日だと思って出かけたら、
ゴールデンウイーク真っただ中だった。
和子さんが慌てて雨戸をあけてくださったが、お休みにしても良かったかも。
文庫だと思ってらっしゃらなかったようで、申し訳ないことをした。
この頃は誰も来ないのに、開けていただいて和子さんとおしゃべり。
コロナのせいもあって、最近はあちこちに少しだけ残っていた子ども文庫が、
全部閉鎖状態になっている。
ここも実質は似たようなものだけれど、と、和子さんと話して、
まゆーらはやっぱりこのままで続けることを再確認。
私はここで本に囲まれて過ごすのが楽しいし、
和子さんも開けていたいとの事なので、子どもの声が無いのは残念だけれど、
年寄り二人でここに居ることにしようと、笑い合う。
そんなおしゃべりをしていたら、和子さんが、
次の寺報にその記事を書いてほしいと言われた。
和子さんの分としては、『花祭り今昔』を記事にしたいとのこと。
そっちの内容も打合せして、引き受けた。
ゴーストライターだぞ、いいのか。
そう言えば、もう一本、締め切りが迫った原稿がある、と和子さんに話す。
紀北子どもの本連絡会の機関紙『紀の子』の原稿で、
自分の子どもや孫、文庫の子などにまつわる、本についての思い出だ。
誰か文庫の子の事でもいいが、とっさに思い出せない。
とりあえず思い浮かぶのは、うちの一番下の息子の事かも。
電車が好きで、文庫でも『きかんしゃやえもん』や、『ちいさいきかんしゃ』
『ブルートレインさくらごう』などをヘビーローテーションで借りていた。
そう言いながら本棚を見たら、目の前に『やまのきかんしゃ』があった。
これも貸し出しノートにしょっちゅう名前があった本だ。
松居直作、太田忠絵のものすごく古い本。50年以上前の本だ。
おっさんになり果てた息子が小さい頃に、何度も読んでいたけれど、
こんなにレトロな雰囲気の本だったのか。
山奥の村で、大雪の日に、急行列車を引く大きい機関車のお手伝いを
することになった、小さい機関車の話だ。
張り切って出かけるが、吹雪で動けなくなって、ハラハラする。
『きかんしゃやえもん』は今も店頭で見かけるが、これは確か絶版。
そっと本棚の端に戻した。
後は和子さんにお話を一つ、「とうもろこしどろぼう」を聞いてもらって終了。
文庫にお客が無かったら、和子さんにお話を聞いてもらう日でもいいな。
もう一枚の写真は、子どもの日に合わせて作った、
ドールハウスの床の間飾りと掛け軸、柏餅!
次の文庫の日は、5月15日です。
(芝 直子)