冷たい風が吹いて、結構寒くなった日。
ストーブで暖かい文庫の中で、せっせと台帳と本の照合作業。
この頃うれしい事にお客様が来てくれるので、
事務作業はほったらかしていたのだ。
リニューアルを機に、ホントは文庫の本が何冊あるのか調べ始めて、
やっと9割方の書架の照合にこぎつけた。
無くなってるのもあったり、反対に台帳に載ってなかったり、
40数年のズボラのせいでややこしい。
さてそれもそろそろ肩が凝って来て、やめよっかなあと思った頃、
うれしいお客様が見えた。
去年10月に赤ちゃん連れで来てくれた、かつての常連さんの
さよちゃんが、またお里帰りで顔を出してくれたのだ。
しかも今度はご主人も一緒に。
数か月見ない間にすっかり大きくなったひかりちゃんは、
お座りができるようになっている。
いやあ、可愛いわぁ。
いいなあ、いいなあ、を連発してしまった。
その間にもさよちゃんは、本棚から絵本を色々見つけて、
「これ、懐かしい」と言ってくれる。
昔毎日のように文庫に来てくれていた頃の本を、
今でも覚えてるとの事。
東京のご自宅の近所に図書館があって(いいなあ!!)、
ひかりちゃんのために絵本を借りているそうだ。
「つい、自分が小さい頃に見た本を選んでしまう」とさよちゃん。
うん、あの頃から今まで、図書館でも読み継がれて残っている絵本は、
それなりにきっちり評価がある、間違いない本だわ。
そうやって最近借りたらしいのが、谷川俊太郎作の『これはのみのぴこ』。
でも文庫の本棚からさよちゃんが取りだしたそれは、
すっかり古びて、綴じ糸が外れているではないか。
おっと、気がつかなかった。
いい機会だから新しいのを買おう。
「最初はいいけど、後の方は息が続かなくて」とさよちゃんが言う。
そう言えばなぜか昔はこの本を、早口言葉みたいに、
息継ぎしないで一息で読んでいたものだ。
いやいや、そんなことまで覚えていてくれたなんて。
きっと、私が調子に乗っていただけだと思う。
どうぞ息継ぎしながら、ゆっくり味わってください。
来週には東京に戻られるとか。
またお里帰りの節は、大きくなったひかりちゃんの顔を見せてね。
次の文庫の日は、2月15日です。
(芝 直子)