「芝さん、えらいこっちゃで!」と、和子さん。
お電話で、「今日まゆーら文庫、開いてますか」という
お問い合わせがあったそうだ。
確かにそれは大ごとだ。
いつか誰かが来たいと思った時のために、と、まゆーらを開けているけれど、
実際のところ、文庫の時間に、文庫目当てでお客さんが来てくれたのは、
去年の12月が最後だったのだ。
わお、それは大変と、トランプや折り紙の用意をして、お迎えの準備。
お電話をしてまで、来てくださったのは、お母さんと3歳のあお君。
お母さんはずっと昔にまゆーらに来てくれていた方だった。
確か3きょうだいで…と、お話していてみんなのお名前も思い出した。
トイレトレーニング中のあお君は、海南の図書館に行くのが好きで、
今日も行ったけど、着いたら眠ってしまっていて、帰ってきたのだとか。
そしたら目が覚めてから、「図書館は?」とぐずられて、
お母さんがまゆーらを思い出してくれたらしい。
あお君がドールハウスで遊んでいるところへ、なんと2組目のお客さん。
マスクでわからなくて失礼したが、お里帰り中のせっちゃんが、
はるかちゃんを連れてきてくれたのだ。
以前会ったときは赤ちゃんだったはるかちゃんが、幼稚園の年長さん!
そりゃあ分からんわ、小学生みたいに背が高いし。
背が高いのはお母さんの遺伝だな、と、
背の高さで、マスク越しにせっちゃんだと気づいた言い訳。
積み木やドールハウスで楽しく遊んで、絵本もしっかり見て行ってくれた。
『鬼滅の刃』や『るろうに剣心』が好きだというあお君の、
最近のテーマは、剣の出てくる絵本らしい。
とっさに思いつかない。無い気がするなあ、ごめん。
はるかちゃんは『からすのそばやさん』を借りてくれた。
かこさとしさんが名作『からすのパンやさん』シリーズから40年後に
新しく出した本だ。
『からすのパンやさん』に出てきた、りんごちゃん、れもんちゃんなどの
4きょうだいが大人になって、修行してそば屋さんを始める。
見開き一杯のパンの絵が素敵だった前作のように、この本でも
おいしそうな麺料理などがこれでもかと出てくる。
かこさとしさんは3年ほど前に亡くなられたが、なくなる少し前まで
たくさん新しい絵本を作られた。
さて、せっかく来てくれたお客さんなので、昔話を聞いてもらうことにした。
カーテンだけ閉めて、ろうそくを灯して、初めは『ねこの名前』。
はるかちゃんがしっかり聞いてくれて、「ねこの名前が、ねこって、へん」と
喜んでくれた。
ついでに、和歌山にも昔話はあります、と、お母さん方に『扇ノ芝のたぬき』。
ちなみに使ったろうそくは、夏をイメージして砂や貝殻を入れた手作りのもの。
中に見えるピンクの貝は、昔和子さんにもらった桜貝だ。
子どもさんが来てくれる文庫の日は、本当に楽しかった!
また来てね。
次の文庫の日は、8月7日です。
(芝 直子)